
目次
マルセイユ・タロット実践鑑定に観る「節制」のタロット学.. 13
アルカナ「節制」のエトセトラ
英語:Temperance
フランス語:La Temperance
イタリア語:La Temperanza

中世期に論じられた人間に重要な四つの徳性、「四枢要徳」のひとつでもあり、タロットのアルカナでは「隠者」「力」「正義」と肩を並べる存在として知られています。
この徳性については、過去において2人の教皇がキリスト教における美の徳目のなかでもっとも重要であると定めた一方で、ほかの教皇の時代には重要視されず、徳目から省かれることもありました。扱い方が多岐にわたるということが、このアルカナの絵柄のバリエーションが豊富であることに関係しているのかもしれません。
キリスト教画の「節制」の擬人像は、松明(たいまつ)と水の入った小瓶をもつ者として描かれ、欲望の火を打ち消す水の図像、もしくは、水の入った杯(さかずき)でワインを中和するという「酒は薄めて飲むべし」という標語に値する作品としての図像などがあります。ひもで封じた剣、コンパス、砂時計などアトリビュートは幅広く、多彩に表現されているのがこの徳性の特徴です。
節制はたいまつを持ち、水でいっぱいの水差しを注ぐ。
この図像は800年代に登場している。
その他の領域で、中世美術に見られる「節制」の擬人像を見てみましょう。
金の精製に取り組む錬金術師たちがフラスコや壺とともに描かれている図版は非常に多く、壺は錬金術のシンボルとなっている。 |
錬金術とは何なのか?
錬金術の定義
錬金術(Alchemy、ラテン語 alchemia)は、卑金属から貴金属(特に金)を錬成しようとする神秘主義的な術・学問体系です。物質の「不完全な状態」から「より完全な状態」への変容を追究し、金属以外にも人間の肉体や魂の完成を目指す哲学的・宗教的要素を含みます。
歴史的背景
錬金術は紀元前の古代エジプトやギリシアに端を発し、ヘレニズム期にエジプトからギリシア世界へ伝播しました。イスラーム圏でさらに発展した後、12世紀以降の中世ヨーロッパでラテン語に翻訳・研究され、大学や王侯の庇護のもとに盛んに実験が行われました。
主な目的
錬金術師たちが掲げた代表的な目標には以下のものがあります。
- 卑金属を貴金属に変える(例:鉛→金)
- 万物を構成する四大元素(火・水・風・土)の究極的な調和を探求
- 不老不死の霊薬(エリクサー)の創製
- 賢者の石の発見による物質・精神の完全なる完成
錬金術と磁器づくり
17世紀以降、観察と実験を重視する実証主義が台頭し、錬金術は徐々に近代化学(chemistry)へと分化しました。蒸留器や抽出法など、錬金術で開発された技術や実験器具は化学実験の基盤となり、薬学や工業化学の発展に大きく寄与しました。
ドイツ,ザクセンの錬金術師とマイセン磁器
ヨハン・フリードリヒ・ベトガー
- 1682年にドイツ・アイゼナハ近郊で生まれた錬金術師
- ザクセン選帝侯フリードリヒ・アウグスト1世に「金を生み出す技術」を期待され、1701年に雇用される
- 金の錬成に失敗した後も粘土と陶石の研究を続け、白い硬質磁器の製法を発見
マイセン磁器成立の背景
- エーレンフリート・トシュンハウス(数学者・物理学者)の協力を得て、1708年頃に硬質磁器の焼成に成功
- 1709年、ドレスデン郊外のアルブレヒト城内にマイセン磁器工場が設立され、ヨーロッパ初の硬質磁器量産が始まる
- ベトガーの「白い金」と呼ばれた磁器は、当時の王侯貴族を魅了し、その製法は後のウィーン磁器(1718年頃)、ベルリン磁器(1763年創設)など各地に伝播したとされる
年代別タイムライン
年代 | 出来事 |
1682年 | ベトガー生誕 |
1701年 | ザクセン選帝侯に錬金術師として雇用 |
1708年頃 | 硬質磁器(マイセン磁器)の製造成功 |
1709年 | マイセン磁器工場設立 |
※全ての事績はベトガーに関する史料より
錬金術と磁器づくりの象徴的な結びつき
土→陶石→焼成→「白い金」への転成は、一連の儀礼的工程として捉えることができ、錬金術が求めた「物質の完全化」は、卑しい粘土を王侯の宝物たる磁器へと変えるプロセスにも重ねられたのでした。
ジョヴァンニ・ストラダーノ《錬金術師の仕事場
(実験中のメディチ家フランチェスコ1世)》
(フィレンツェ・ヴェッキオ宮、1570~73年)

美術的な節制のイメージは、「中和」「混合」「溶解」を暗示するものとなり、錬金術や魔術的な図版にも盛んに取り入れられました。「異なる2つの物質、混合、異化作用」というキーワードが派生し、時代とともにこの14番のアルカナに結びつけられるようになりました。
英語で「テンペランス/temperance」といえば、直接「禁酒、禁煙」を指すことばとされることもありますが、語幹を同一とする「テンパー/temper」は「気質」を表すことばで、特に短気やかんしゃくもちの表現として用いられます。すなわち「節制」とは、節度をわきまえ、度を越すことがないようほどほどにとどめる自己抑制を指します。ある程度までは許容され、完全に無にする必要はないところが難しいところです。なにごとにおいても適度なさじ加減ができるのが、上級者といえるでしょう。
中世ヨーロッパに発達した騎士道の精神においても「節制」という徳性は尊ばれています。求めないが手放さない愛、身体ではなく精神で結ばれるプラトニック・ラブという愛の形が見直され、王侯貴族の間では「宮廷風恋愛」が流行しています。人を愛する気持ちをあらわにすることなく、陰ながら尽くすといった献身愛の物語が吟遊詩人によって歌い継がれました
タロットのアルカナのなかに、中世期に尊ばれた数々の徳性を描き出した絵札が含まれていることはご理解いただけたでしょうか。何を主題としてこの一連の22枚のセットが確立したのかが、未だ解明することができないままです。
最古のヴィスコンティ・タロット

ベルガモ・パック

エステンシ・タロット
人間の3つの性質をあらわす三美神のひとつ
ベルガモ・パックでは人間の女性が、素朴で牧歌的な雰囲気で描かれています。女性は両手に水差しをもち、一方の水差しからもう一方へと中の液体を注いでいます。身につけている青いドレスには、8本の線を交差させた星形の刺繍がほどこされています。足元には、青々とした芝生が見られます。
ベルガモ・パックに見られる「三美神」。左から節制、星、月

似たようなドレス姿で描かれている女性が、アルカナ「星」と「月」に登場します。画家は意図的に、女性たちのドレスのすそと背景の山の峰の連なりを重ねて描いており、「節制」「星」「月」の3枚を並べるとまるで三連画のようです。中世絵画によく見られる「三美神」が彷彿とされます。
「三美神」は中世期に好んで取り上げられた題材です。ラファエロの作品では、平和の女神ミネルヴァ、美の女神カリステ、愛の女神ヴィーナスが、自分を選んだ者への褒美としてリンゴを手にして描かれています。ボッティチェリ作品に見られるのは女性の3つの側面を表した「美」「愛」「貞節」の擬人像です。すべて、人間の内面的な3つの性質を象徴的に表しているのです。

(左)ラファエロ《三美神》(シャンティイ・コンデ美術館、1504~05年頃)
(右)ボッティチェリ《春(ラ・プリマベーラ)》(部分/ウフィツィ美術館、1482年頃)
(下)コズメ・トゥーラとフランチェスコ・デル・コッサ《12か月の暦》のうち〈4月の寓意〉(フェラーラ・市立ラピダリオ美術館、1469~1470年)
3人の女性たちはどこか葛藤があるよう。身体の線や手足の動き、視線などから、彼女
たちがたがいに相容れない要素をもっていること、人と人とが調和し一体化することの本質を物語っている。
17世紀(1600年代)~マルセイユ・タロット

女性の肉体をもつ天使
マルセイユ版の「節制」でもやはり、背中に翼がついた大天使が、左右の手にもった水瓶から水瓶へと液体を移し替えているさまが描かれています。
ヴィヴル版の図像のみ異なった雰囲気で、冠を被った女王らしき人物が直立不動で、左手にはギリシアの知恵の神ヘルメスのアトリビュートであるヘルメスの杖、カドゥケウスをもち、右手では水瓶から水瓶へ水を注いでおり、より錬金術もしくはギリシア・ローマ神話風です。
ドダル版では胸がはだけており、これは作家のオリジナルです。天使はもともとキリスト教起源の架空の存在で、精霊であり、性別のない存在とされています。人間の女性の肉体をもった天使は、天界に住まう天使ではなく、地上界の人間が天使化した存在だといえるでしょう。
ノブレ版では、翼は神秘的な上昇が可能であることのシンボルだと解説されています。人間が能力の限界を超え、潜在力を発揮すべく精進しはじめたところを描いています。宇宙の導きがあったときにその力は目覚めるのであり、覚醒には、意識の泉と無意識の泉が力を合わせる必要があるとされています。
どの天使の額にも赤い花のようなものが見られます。これは一様に「第3の眼」として語られており、無意識の覚醒、霊的な視力の象徴です。通常の人間には知覚できない事柄を、この天使は感知できるのですが、それでも彼女はあくまでも乳房のある人間の女性です。一般人を超える力が、擬人化して描かれているのです。
ドダル版では、天使の右手の指が6本、左手の指が4本であることが重要です。このほかにも、13~15のアルカナに4本指、6本指の手が複数見られることが指摘されています。ここに数の神秘が潜んでおり、これらをどうとらえるかは使用者にゆだねられています。
たとえば、左手の水瓶から右手の水瓶に流れ出る水について、タロットで左は過去、記憶、心臓をあらわすことを知っている人は、過去の経験から溢れだすさまざまな知識や情報を今後にどう生かすか、という図像だとすることもあるでしょう。すべては過去から未来へ、その未来もやがて過去へと流れてつながっていくのです。
マルセイユ・タロット実践鑑定に観る「節制」のタロット学
『32才男性 Nさんの「脱サラ&フランチャイズのラーメン店」について』
今は不動産販売の営業マンをしていますが、独立自営を目指したい気持ちが強くなっています。いわゆる脱サラ&ラーメン店のフランチャイズオーナー募集の資料を集めていますが、本当にやってみて大丈夫でしょうか? 各社によって条件もまちまちで、この会社!という決め手が今一つです。
【一枚引きによるタロット展開】
一枚引きをするとして、まず「どう占的を立てるか?」が課題ですね。
「どのフランチャイズ会社にするか決めたい」といったニュアンスの相談内容でもありますが、いきなりそれを占的にするのは早いという段階なのは、もうお判りでしょう。
相談内容の時系列を整理して、「脱サラして、やってみてだいじょうぶなのか?」あたりを探りだすのが妥当でしょう。その際、「脱サラしてもだいじょうぶですか?」と問いを立てるのもよいのですが、そうなると結局「YES/NO」を問うことになります。ここがタロットリーディングにおける占的の落とし穴で、かえって各アルカナの答えとして読みづらくなることもあります。何度か伝えているように、タロットの絵柄はYESかNOか、白か黒かを伝えるモノトーンではありません。
本書をお読みくださっている皆様には「今迷っているNさんに必要な精神性は?」という問いの立て方でもよいでしょう。「精神性」というと堅苦しいでしょうか、「Nさんにお勧めの心の持ち方と行動の指針は?」だとより親しめるかもしれません。
問いに対して登場したのが「節制」でした。これは実は、筆者が大沼忠弘先生のカモワン・タロット講座を受講した際、せきららにお話いただけた鑑定例なのです。

さて、大沼先生は。。

とのことでした。聞けば、Nさんは無類のラーメン好きブロガーさんで、ブログを通じたアフィリエイトとアクセスアップや集客にも力を入れているとのこと。
ただしと、大沼先生は続けられました。
「壺から壺へ移されているラーメン」のイメージからは、「作り手としての修業」「店を切り盛りする」など様々な課題にも触れられたのでした。
そしてここからが「運勢鑑定」となるところでしょう。
10分、20分でできるタロットと、ひとりの人の人生に向き合う「運勢鑑定」、区別して学び、対応していきたいところです。
現代ウェイト・タロット

自然の力によって起こせる「変化」
ウェイト版では、人間やものごとの「変容・変成」に焦点があてられています。
白装束を見にまとった天使が大自然のなかに裸足でたたずみ、大きく翼を広げています。大地に片足を、もう一方の足を泉に浸したこの天使が、四大要素「火、地、風、水」の地と水の2つの諸力を兼ね備えていることの暗示です。地と水とは、女性性が発揮し得る二大勢力です。
しかしながらウェイトは、タロット図解“Key to the Tarot”のなかで、この天使を男性でも女性でもない存在であると述べ、ひとつの要素に偏ることなく、中性的であることを強調しています。
そのとおり、男性的な諸力もたしかに描かれており、ひとつは天界に属する天使の翼にあらわれています。翼は四大要素「火、地、風、水」の風の属性で、風は人間の理知、文明の象徴です。12星座中、風の星座は双子座、天秤座、水瓶座で、ことに水瓶座のシンボルが「水瓶をもった人間」であることも、この絵札に結びつきます。
天使の背後に見られる太陽は、四大要素「火、地、風、水」の火の属性であり、これも男性の諸力、生命力、血気の象徴です。この天使の行為が光明に通じていくかを暗示しています。天使の胸には、錬金術における火の象徴、上向きの正三角形が描かれています。
ウェイトは、マルセイユ版に見られた赤い花を太陽の惑星記号に変更しました。これもまた火の属性です
球体に乗る4人の大地母神 ヨハン・ダニエル・ミュリウス“Philosophia reformata(改革された哲学)”(1622年)より。 球体には右から、四大元素の火(△)、風、水(▽)、地のシンボルが、地母神の頭上のフラスコには、人、さそり、ワシ、獅子が描かれている。これらの生き物は、アルカナ「運命の輪」に有翼の状態で描かれている。 |
天使の背後には光(こう)輪(りん)見られ、アルカナ「吊された男」と同様に、この天使に超越的な力が与えられていることが見てとれますが、「節制」の光の放射線はよりダイナミックです。アルカナ「死に神」をはさむこの前後の札2枚は、死と再生に求められる精神力を象徴しているようです。
天使が手にしている杯を見ると、2つの水流が見られます。異なる2種類の物質から第3の物質を生み出すことに天使は専心しているのです。その作業の場として大自然を選んでいることが、天使の超越性を示しています。通常の人間なら、材料や道具を求めて資金を携え、町中へ出向くでしょう。
このアルカナは、自然界の諸力を活用することで起こせる変化があることを告げる図像です。自然界のエネルギーの穏やかな作用が描かれており、22枚のなかでもっとも心安らぐ癒しの札であるともされています。
澄んだ泉のまわりには、風にそよぐアイリスが目につきます。アイリスは、王家や貴族の紋章にも使われる花です。ギリシア神話に登場する女神イリスの名と語源を同じくするもので、irisとは、虹を意味するギリシア語。女神イリスは、花の女神、もしくは虹の女神とも呼ばれ、神々、そして人々の仲裁をつかさどり、争いの後には空に虹の橋をかけます。彼女の微笑みは、激しい嵐が過ぎ去った後に雲の合間から注ぎ込む希望の光、気難しいヘラを押し黙らせるほどでした。
天使の作業は、怒りや悲しみをなだめ、不幸を幸運の要素に変えようとすることにも転じ、もっといえば人間のあらゆる問題を解決する応用力と化すものでしょう。
遠景には2つの山が見え、山のふもとあたりと天使の白装束のすそが重なるあたりは、ベルガモ・パックに似せて描いたようでもあります。古代エジプト人は「夜明け」を表すために、ふたつの山の間に昇り立つ太陽を描きました。この天使の行為に及ぶことができるのならば、どんな人にも夜明けは訪れるのです。
「節制」の哲学 ~天使の所作を身につけよ~
白と黒を混合・中和せよと伝えて、この札は出ます。
相反するものを調和させ、新たな秩序へと昇華させる錬金術的なプロセスを象徴しているところを、どのように日常生活の中でアドバイスとして提案できるでしょう?
たとえば「器用に」「なしで済ます創意工夫」などに集約できることではありますが、なかなかハイレベルなことになってまいります。
だからこそ描かれている人は天使化を果たそうとしている―
タロットの「節制」に描かれた天使は、決して静かな存在ではありません。異質の二つの液体を混合・中和させながらバランスを見出そうとしている、忙しくも意志力をもった存在です。
そしてその精神性は、私たちの日常でも応用できる精神性であり、「足りないものを嘆く」のではなく「あるものを活かして創意工夫する」態度に通じるものです。何があるのか?そこから具体的にことばをつむぎだしましょう。
仲介者となることなども提案できますが、間に立つというのは誰でもできることではなく、中立しながら双方の意見を足して二で割る、折衷案を見出し、実行できて初めて成果となるところです。案はケースバイケースであり、相談者がいる段階であればより具体的な言動を導く必要があります。コツはこのアルカナに描かれている天使が水をこぼさないように気を遣う感覚で、徐々に導くこと。完璧である必要はありませんし、実際にやってみながら少しずつ決めていけばよいのです。
ホドホド、妥協、負けるが勝ち、そんなワードがふさわしいときもあるでしょう。ただそのワードに、必ずこの天使の「創意ある調和の技法」を織り込むことが何より重要ですので、ことば選びには注意しましょう。
何らかの中和と異化作用をもってして、癒しと回復にも言及できる札です。ですが、魔法のようにパッと解決するとは、この札は物語ってはいないのです。まず当事者の天使化が求められ、天使の所作で努力を積み重ねた結果のことになることを忘れないことです。
「節制」が逆位置で出るのなら
このように難しい作業が擬人化されている札ですから、若い人、不器用な人、気遣いができないタイプなどにはよく逆位置で出るでしょう。あわてることも、絶望する必要もありません。成果が出せるまで、焦らず時間をかけましょう。
試行錯誤をあきらめないで、試みと失敗を繰り返しながら新しい物事に挑戦し、目的を達成することを意味することばです。そう、転ぶことを避けていては技術は上達しないのです。ミスや失敗も含めて経験をうながすことばとしては「つまずくことを恐れない」、うまくいっていないことも含めてそれでいいのだという後押しも大切でしょう。ために出ることもあるでしょう。
心理学における「白黒思考(black-and-white thinking)」とは、物事を極端に二分して捉える認知のゆがみの一種です。「成功か失敗か」「善か悪か」「味方か敵か」といった考えで、グラデーションや曖昧さを許容しないスタンスを暗示する札がまさにこの節制の逆位置が示すところです。
もともと人間は、曖昧さというものに不安を抱いている生き物なのです。不確実な状態に耐えることより、明確化することで心の安定を得ようとする思考が強くなりすぎると「生きづらさ」の原因になります。いわゆる「決めつけ」を起こしやすくもなり、自己否定や人間関係のトラブル、燃え尽き症候群などに至りやすいとされています。一説によれば厳格な家庭環境や一貫性のない愛情体験が影響していたり、発達特性やうつ状態のときに強まりやすいとも言われています。
白と黒の間にあるもの、中途半端で曖昧なものを受け入れる力が、心の成熟には欠かせないのかもしれません。
「節制」のワークでその精神を獲得し、ブラッシュアップしていくのも手でしょう。
🌿アルカナ節制のワーク
天使に近づく「節制のワーク」の提案
🍵《節制のリチュアル》—「水を混ぜる瞑想」
目的:内なる矛盾や白黒思考をやわらげ、心の調和感覚を育む
- グラスを二つ用意:片方には冷たい水、もう片方には温かい水を注ぎます。
- そっと注ぎ混ぜる:静かに片方の水をもう一方に注ぎながら、「冷たさと熱さ」「怒りと慈愛」「疲労と希望」など、自分の内にある両極の感情を思い浮かべてください。
- 混じりあった水を一口:その水を一口飲み、「ちょうどよさ」が生まれた瞬間を味わいます。
- 言葉にして記録する:感じたことを一言でもノートに残してください(例:「迷いと確信が溶けあった」など)。
これは錬金術的なプロセスそのもの。「節制」の天使が持つ水の入れ物に、自分の一日を流し込むような意識で行ってみてください。
🕊《日常ワーク》—「1日1ミックス・チャレンジ」
目的:白か黒かで判断せず、「混ぜたらどうなる?」という創造性を育てる
- 朝、「今日は何を混ぜてみよう?」と宣言してみてください。
- 例:
- 「クラシック音楽×家事」
- 「職場のルール×自分のスタイル」
- 「疲れている自分×ちょっとだけ笑える動画」
- 夜に「その混合はどんな作用を起こしたか?」を振り返ってみましょう。
習慣にすれば、いつしかあなたの内なる天使が、バランスのとれた選択へ自然と導いてくれるようになります。
📝《ことばのワーク》
- ノートに書いてみましょう:
「この2つが溶け合ったとき、私はどんな姿になるだろう?」
→ 言葉にできたら、それを“再生の名前”としてノートの中央に書きます。
例:「私=静かなる旅人」
日常を錬金術の場に変える——これこそ節制の真髄ですね。
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