
目次
アルカナ「女帝」のエトセトラ... 2
偉大なる女性... 4
最古のヴィスコンティ・タロット... 5
17世紀のマルセイユ・タロット... 10
あらゆる意味で「豊かな」女性への崇拝... 11
マルセイユ・タロット実践鑑定に観る「女帝」のタロット学... 12
現代ウェイト・タロット... 14
愛とエロスの象徴... 14
ウェイト・タロット実践鑑定に見る「女帝」のタロット学... 16
女帝の哲学~女性性や母性を育むことの意義~... 18
タロット学 その3 女帝
アルカナ「女帝」のエトセトラ
英語:The Empress
フランス語:L’Imperatrice
イタリア語: L’Imperatrice
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デラ・ロッカ/Carlo della Roccaのタロット | アールヌーボー・タロット/Art Nouveau Tarot | エジプシャン・タロット/Egyptian Tarot |
第3のアルカナ「女帝」は、多く「母親」「女性」の象徴札として知られています。
推定 年のミラノのデザイナーのデラ・ロッカ/Carlo della Roccaのオリジナル作品は、当時イタリアで流行になったデザイン。古典的なヴィスコンティ版やマルセイユ版を踏襲したイメージで、どっしりとゆったりと構えて鎮座する女王、女帝の風格です。
アールヌーボー・タロット/Art Nouveau Tarot は、2000年代に入ってイタリアのタロットメイカーから刊行された人気作品。Artは芸術 nouveauはnew、すなわち「新しい芸術的なタロット」として、従来のデザインを飛躍的に変えられています。ギリシア・ローマの神話をモティーフとしながら、なおかつフローラルなイメージが特徴で、乙女のロマンティックな風合いです。
エジプシャン・タロット/Egyptian Tarotは、少し前の1970年作品で、国内ではまだ未明のタロット黎明期(れいめい)期にあって、古代エジプトをほうふつとさせる古典的なイメージが売りであったことでしょう。やはり当初より太陽暦が導入されていたエジプトにおいては、太陽の片割れとしての月が女王にむすびつけられたデザインが特徴と言えるでしょう。
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ケルトのタロット/CELTIC TAROT | タロット・イルミナティ/ Tarot Illuminati | ニコレッタ・タロット/Nicoletta Ceccoli TAROT |
また異なる神話タロットとして、同社ロングセラーのケルティック・タロットも注目株です。ここでは、戦女神でもあるモリガンがたくましく描かれています。また同社ケルティック・タロットの解説書には「セクシーで華やか過ぎる女性に注意」と言ったコメントも記載されており、なるほど何ごとにおいても正負の側面があるものであり、同じタロットの「女帝」であっても、各デッキそれぞれに異なるメッセージ性大いに尊重すべきことかと実感・・・だからこそ、絵柄がこれだけ異なるのですね。
続いて、「タロット・イルミナティ/ Tarot Illuminati」はCGタロットがまだそんなに普及していなかった頃、2014年の斬新な現代タロットで、エキゾチックなイメージです。西洋人がEMPRESSと言うときには、中国の皇太后を思い浮かべるようなところにも由来するのでしょう。ここではまた明確にアルカナと惑星との照応関係も説かれており、専用解説書の中でこのアルカナは金星の諸力としての結実のエネルギー、創造性、官能的な愛と結び付けられています。
「ニコレッタ・タロット/Nicoletta Ceccoli TAROT」はその少し後、「心理タロット」ファンを驚喜させた逸品です。女帝に「虫」・・・すかさずシンボル事典を開いたものです。たとえば、古代エジプト以来、スカラベは太陽神でしたし、ミツバチ、テントウムシなどが聖母マリアのシンボルとされる地域があります。心理学的には、チョコレートファッジ・サンデーがセクシュアリティの象徴とされ、抑圧された性のエネルギーが思春期の子どもの過食や拒食を引き超すレポートなどもあり、わたしたち人間の無意識を不可思議な絵柄で表現しているようなニコレッタ・タロットに惹かれる女性は特に多いようです。付属の解説書には「自然界のあらゆるものがつながっており、あなたは全体の一部。地上の生き物をよく世話し、彼らが返してくれる愛を受けとって」・・・恵み深く、愛の込められたメッセージがあります。
女性とは何なのか、母から生まれること、母になること、母子の愛とは、妻とは何なのでしょう? 一連の問いかけが詰まったこの一枚のアルカナを、どう解釈するかはあなた次第です。ゆっくり、何度でも、色々な答えを出していきたいものです。
偉大なる女性
今日日、性別由来でものを言われたくないというステレオタイプの誤解を恐れずに言えば、子を産み、育む女性という存在あっての人類史であり、ギリシア神話の最初の神ガイア、古事記の天(あま)照(てらす)大神(おおみかみ)など神々の産みの母である最高神が存在しています。
女性であれば誰でも子を産むわけではないし、産んだからと言って誰もが自動的に格が上がって女神として尊ばれるわけもありませんが、ここはあくまでも象徴表現であることはご理解ください。生物学的な雌としての機能を尊びましょうという提唱です。
多産と豊穣のシンボルとして、古代の女性器を象(かたど)った土偶や「ヴィーナスの誕生」などの西洋絵画に私たちも日常的に触れる機会があります。ですが、そういう古代の文化とは裏腹に、古今東西で武力闘争が主体化する中で男尊女卑の風潮が強まり、自由と平等による世界平和が望まれる今日にいたっても払しょくしきれていないのが2025年の現代社会今をもってしての現状です。声を上げ続けることなのでしょう。
現存する最古のタロットの女帝を見てみましょう。
最古のヴィスコンティ・タロット
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乱世を生き抜いた中世の貴族たち
アルカナ「女帝」には、優美な女性が鎮座した様が描かれ、女帝がもつ盾には、ヴィスコンティ・スフォルツァ家の紋章である黒ワシが描かれ美しく装飾されています。
本来盾には、そこに君主あるいは自分の氏族を表すシンボル、家紋を入れることが重要なものでした。家紋の入った旗は、貴族の馬上槍試合において、各一族から出馬している騎士を見分けるために用いられたものですが、これが「紋章」の起源とされています。
ワシを紋章として掲げた王侯貴族は他にも存在し、中世ヨーロッパ社会では各地で好んで用いられた力や権利のシンボルでした。当時の神聖ローマ帝国の皇帝ヴェンツル(1361-1419)の紋章でもあり、近しい関係にあったヴィスコンティ一族もヴェンツルによってワシの紋章をさずけられているため、このアルカナは、一族の権力をことさらに強調するものとなっています。
キャリー・イェール・パックでは、周囲に4人の侍女が付き添っている姿が、より一層女性の身分の高さを伝える構図となっています。絵札の背景には他のアルカナにも見られるヴィスコンティ家の「太陽の紋章」が金箔で描き出されています。
ただ、現存する札の中からこのアルカナは消失しているため、復刻版が生み出される際に、ベルガモ・パックを参考にされたものである点にも留意したいところです。
ベルガモ・パックでは、女王のローブの表面にくり返し使われている交差する3つの輪が確認でき、これはスフォルツァ家の紋章、ダイヤの指輪です。その下方に月桂樹で飾られた王冠が見え、これはヴィスコンティ家の紋章で、これはすなわち、結合したヴィスコンティ家とスフォルツァ家を示すアルカナなのです。
女帝が盾をもち、また手袋をはめてもいるところから、なんらかの宮廷競技に参加している姿であるようにも推察できます。また、当時、契約の譲渡の際に実際に手袋を渡す風習があったことに由来するのでしょうか。
盾と槍といえば、騎士の付帯物(アトリビュート)でもあります。13世紀頃から中世ヨーロッパの貴族社会では武芸競技会が盛んが行われるようになり、なかでも人気の種目は、馬上槍試合。これは、槍と盾のみをもって馬に乗った騎士が一対一で、相手を落馬させるまで戦うというもので、よりさかのぼると、古代のケルト民族がほかの部族と争う際に、たがいの隊長同士で一騎打ちを行うという慣習がありました。
本来は戦士や騎士の持ち物である盾、それを携えた女帝は、政治にかかわり武芸をたしなむたくましい存在でもあります。乱世を生きた女王、后、姫、彼女たちには、男性とはまた違った戦いがあったのです。日本の文化においても、天下を統一した武将よりも、その男性を育てた母や妻のほうに焦点が当たることがあるものです。
この絵札は、ヴィスコンティ家の特定の女性を表した札というより、権威ある女性の擬人像といったところでしょう。中世ヨーロッパに実在した女王や王妃は庶民たちにとって「カリスマ」であり、その動向は常に人々に注視されていたのです。
人文主義者としてのヴィスコンティ一族
下記がヴィスコンティ=スフォルツァのタロットを描かせたと推定されている3人です。

ビアンカは側室の娘で、20才以上も年齢が離れた傭兵隊長上がりのフランチェスコ・スフォルツアと結婚を、おそらく政略的にされられたのでしょう。この時代の女性として不遇の公爵夫人とうたわれることもあるビアンカですが、教養豊かな芸術家のパトロンとしても知られた存在です。
公爵夫人、摂政、画家の支援者としてミラノの政治に関わったビアンカ・マリア・ヴィスコンティが、どれだけ「タロット」の絵柄に関わったことなのかは、未だ持って未知数です。

上)Domenico Veneziano/ドメニコ・ディ・バルトロメオのニックネームであるドメニコ・ヴェネツィアーノ(1400年頃 - 1461年)によるビアンカの絵画。
中世期においての女性の地位も、明確に男性より下まわるものと定められていました。がしかしたとえば、家庭における女性の役割や影響力はむしろ大きく、決して隷属的に扱われていなかったことが伝えらえています。
母も妻も多く尊重され、大切に扱われて、そこに「愛」の発生があることがうかがえ知れます。男女がたがいに優劣を越え、支え合ってきた人間模様がかいま見られます。いつの世も、貴族も庶民も変わらず、愛によって幸せを感じてきたのです。
ヴィスコンティ一族は、「人文主義」の擁護者としても知られています。
人文主義(英:humanism:古代ギリシア・ローマの古典研究を中心に行なうことによって、中世カトリック教会の精神的束縛から脱し、教会の権威よりも人間性を重んじようという思想)
キリスト教支配からの人間の解放を意図する市民階級の精神態度であり,現実的・世俗的,合理主義の尊重,個性の自由な発露をめざすもの。もっと言えば非化学、魔術、呪術、占星術などにも広がる思想です。
当時はまだ地動説が当たり前のキリスト教会主導の治世でもありました。
ことごとく、教会勢力と対立を繰り返してきた一族でもあったのです。
時代を上がって、近世の木版タロットの図像を観てまいりましょう。
17世紀のマルセイユ・タロット
あらゆる意味で「豊かな」女性への崇拝
マルセイユ版については数種のバージョンがあるなかで、このアルカナは比較的一貫性が高く、各札に際立った違いが見られません。絵札の中央に描かれた女帝は、正面を向いてどっしりとイスに構えつつ、やや右側に視線を向けています。大きな瞳に豊かな金髪なのでしょうか、長い髪が優美な印象。
青みがかったドレスに赤い上着をまとい、頭には二層からなる冠という出で立ちです。右手にはワシの紋章が入った盾、左手には十字がついた王笏をもっており、これらはいずれも当時の神聖ローマ帝国の皇帝のシンボルでもありました。ワシは、ヴィーヴル版以外すべて羽が上向きになっており、現在のドイツの国章にも通じた絵柄です。
配色に鮮やかな青を用いているタイプでは、女帝の背後の王座の背もたれがやはり青で、女帝の背に生えた翼のようにも見え、「女神」さながらの風貌です。キリスト教画によく見られる配色が一見すると「聖母マリア」の面影を垣間見るものでもあります。
ノブレ版では、この女帝は一家の母親に等しい存在、女主人の象徴です。アルカナ「女教皇」に暗示された乳母の必要がなくなった少年少女に対して、いよいよ母親の出る幕がやってくるのです。そして母親の最も重要な役割というのは、あくまでも子どもと距離を置き、どっしりと構えて安住の空間をつくり出すことなのです。
フランス語では現金が「リキッド(液体)」といわれることも語られています。日本でも「うるおい」とは、経済的な豊かさを表す際にも用いられますが、母親・母性というものが古来より海、水、液体を入れる杯などによって象徴的に表されてきたことと重なる点も重要です。財布のひもを握り、経済管理をする母親は、いかにして家庭をうるおわせるか、ひいては国がうるおうかという哲学を、子どもに学ばせる存在なのです。さてここでマルセイユ・タロットによる実践鑑定例の中から、「女帝」にまつわる展開をお届けいたしますしょう。
マルセイユ・タロット実践鑑定に観る「女帝」のタロット学
『48才男性の「転職」について』
10年余り勤務した商社ですが、社長の代替わりと共に新社長の下、スタッフが総入れ替え状態で、現在リストラ寸前です。もし自分から辞めるという自己都合による退職の場合、ご存知のように失業保険は支給が遅くなり金額も給与一か月分しか出ません。私としてはせめて会社都合による退職となるようねばり、一定額の失業保険を確保し、転職活動をしたいのですが、、日々針のむしろです。ここ数ヶ月の経緯を見て下さい。
【5枚十字によるタロット展開】
1・・切り札
2・・過去
3・・今後の成り行き
4・・本件についての潜在性
5・・のびしろ

※ご相談者のタロットレッスンの流れでの実践鑑定で、まだ正逆をとるのがニガテとのこともあり、すべて正位置にして読んでみました。と言うことは安定性においてゲタをはかせた印象があるため、少々辛口の解釈になります。
まず過去の位置に出ている「女帝=女性の力」=経済力、聞けば、ご夫婦二人暮らしで住宅ローンを抱えつつも、お二人とも健康で共働きとのこと。ここに後押しされた今と今後の展開を見るにつけ、心機一転を図ることが可能になるようでもある。
切り札「男性の力」・・・やはりご相談者の「ねばる」ということばにも象徴されている、そうはいっても心機一転を図りたいというわけではなく、この職場にとどまることができれば願ってもないところとなるでしょう。
「魔術師」を今の職場で心機一転と読むのか、別の職場へ転職せざるを得なくなると読むのか、どちらもありでしょう。ご相談者と直接対話しながら、しぼりこんでいくべきところで、ここでは何とか粘り勝ちしたい相談者に寄りそい、「まだやっていけるだろう」というストーリーを優先しました。
心理的にどこまで耐えられるかと言う暗示が潜在力「隠者」に観られ、相当陰鬱な札で、心病むことととらえれば、回避策が求められるでしょう。のびしろの「審判」も甘く解釈するわけにはいきませんので、「針のむしろ」を精神修行として、ある程度奥様との話し合いで、一人でしょい込み過ぎないことではないかと伝えたところ、「まったくこの話は妻にしていない」と切り出された。
心配かけたくない、考え方も違うところがある、うちは夫婦別会計だし・・・なるほど、そういうスタイルでよい時はよいのでしょうが、これまでの経緯を見つめながら「女帝」も見つめている「皇帝」なので、会社での立場やこれからの不安について夫婦で思いを共有すること、二人三脚体制をとることで、経済状況とリストラに備えてはいかがでしょう? というアドバイスなど。
時を経て、結局この時の辞職は回避できましたが、数年後、この方が55才になった時分にヘヴィな退職勧奨などもありリストラは決行されたとのこと。
ただ、その時までに、だんだんご夫婦で将来の話をするようにはなりましたとのこと。ある種のブラック企業のやり方に備えて、退職勧奨があった時の対策や自分都合の退職におとしいれられないための対策を、奥様のほうがネット検索したり法律家へ相談したりとがんばられたとのこと。仕事の相談をしただけのつもりが、「夫婦関係」に触れたところに少し驚いたと後日感想をいただけたことが印象的な一件でした。
現代ウェイト・タロット
愛とエロスの象徴
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ウェイト版に描かれているのは一国家の女帝ではなく、「天の女王」。大自然のなかにゆったりと構え、かすかに笑みを浮かべているようです。
12の星が散りばめられた冠は、黄道十二宮を示し、すなわち12星座の産み親が彼女であることを伝えています。彼女が宇宙の偉大なる生みの親であることの象徴です。
また、12の星がついた冠はキリスト教における聖母マリアのアトリビュートでもあります。特にマリア崇拝の会派に、このタイプの冠を頭部に抱いたマリア像や絵画が多く見られます。ウェイト版では先のアルカナ「女教皇」と並んでこの「女帝」も一種聖母マリアの異形なのです。
この大いなる「女帝」によって、地上のあらゆる子どもが産み落とされたのです。一面に生い茂る緑、前面には原書によれば、トウモロコシ畑が広がっているとのこと。そうなると、この女帝は相当巨大な存在ということになります。トウモロコシや麦穂などの穀物は、古くから多産性、大地の神、母神と結びつけられて考えられてきました。このアルカナは、母なる大地、海なる母として表象された女性原理そのものなのです。子種を宇宙の大地に植えつける女性の力がダイナミックに描き出されているのです。
女帝は、手にした王笏を頭上に高く掲げており、王位、王の権力と男根の象徴である王笏を、自由自在に操っているかのようにも見えます。単独で存在しているのではなく、庭園で繰り広げられる乗馬や馬上ダーツの試合でも観戦しているところなのではないでしょうか。たとえば、皇帝や騎士など男性陣が競技するさまを、観戦に熱くなって手にしている王笏を振り上げているところであると推察できます。
女帝は果実が描かれた衣服を身につけ、その実用性を全身で表現しています。「女教皇」において、女性の神秘性を見てきた私たちは、ここで女性の機能性を見てゆくことになります。
女帝はどっしり構えたとでもいいましょうか、悠然たる面持ちで王座に腰かけており、その足元には、愛とエロスの象徴、西洋占星学における金星の惑星記号が刻まれた盾が置かれています。
ウェイト版「女帝」は、愛の星とされる金星の惑星記号が入った盾をもつわけですから、「愛の戦士」的側面をもつと解釈できます。槍が攻撃性なら、盾は抵抗力、受けとめる力であり、女性の諸力の一種力強さがうかがえるところでもあります。
愛にはひとつ「エロスeros」という形があります。ギリシア神話に登場する神の名にちなんだもので、性愛に基づく男女の愛情を表したもの。仏教においては、煩悩のひとつとして説かれているものです。愛とは、もともと梵語「トリシュナー trishna(渇望)」の訳語にあたる文字で、欲望の充足を求めること、すなわち「渇愛」を意味することばであり、仏教で尊ばれているのはこの愛ではなく、「慈悲、慈愛の精神」なのです。他方、キリスト教における精神的な美徳としての愛は「アガペー agape」と呼ばれ、罪深い人間に対する神の愛、人間どうしの兄弟愛など、自己犠牲的・非打算的な精神性を表します。つまり、あらゆる愛の総称として、ウェイト版の「女帝」を見ることができます。一枚の絵札に象徴させたところに、ウェイト博士の巧みさがうかがえます。絵柄、色彩、シンボル、記号をもって、さまざまな愛のエネルギーは昇華され美しく描き出されました。
ことにとりわけ「母親」の偉大さを伝える札、それがこのアルカナです。
タイトル「女帝Empress」は、一帝国の女性支配者を示す場合と、皇帝の后である皇后(こうごう)を示す場合とがあります。また、アルカナ「女帝」は、「地母神」という異名も当初より持ち合わせています。絵札の中心に、一国の女帝が威風堂々と王座にどっしりと構えているのがこのアルカナの特徴です。
さてここでウェイト・タロットによる実践鑑定例の中から、「女帝」にまつわる展開をお届けいたしましょう。
ウェイト・タロット実践鑑定に見る「女帝」のタロット学
『40才女性の「転職」について』
職場での雇用条件が変わってきました。転勤は断ることができたのですが、一律で転勤の可能性が出てきたのです。この変わりようだと、今の職場にいる意味がありません。がしかし、私自身に転勤の辞令が出ているわけでもありません。そんなに頻繁に異動の辞令が出るところでもないので、、早まって自分から辞めなくてもよいでしょうか? でも条件が変わった以上はこの職場から離れたほうがよいのでしょうか?
【3枚トライアングル展開】
1・・現状
2・・今後の成り行き
3・・切り札

※タロットレッスンの流れで、持ち込まれてこられた受講生さんに寄せられた相談とのこと。「女帝」は、動かず今の職場に居たほうがよいということなのか、しかし、現状から今後の流れは、「望まぬ転勤を言い渡される」可能性を読めるのでは・・・そのようになってから慌てる前に、今のゆとりがある中で転職活動を、ということなのでしょうか?と。
先のマルセイユ・タロットでの展開でも、青字の部分は「解釈が二つにわかれ、どちらもありの場合、相談者とよく向き合ってしぼりこむべし」と伝えていますね。
今回は、ご相談者が本当に「どちらでもいい」とのことで、転職してもいいし、しなくてもいいという自由度の広さの中で、受講生さんが占断に踏み切れなくなってしまったとのことでした。
さあ、これまで「女帝のタロット学」を読み進めてきた皆さんなら、どうアドバイスされるでしょうか? 女帝には女帝の哲学があり、女性、母、母子などのキーワードもひもづかせながら発動させてみていただきたいところです。
男女問わず、転職活動は年齢とともに試練の度合いが増すものですし、ここはひとつ蝶よ花よの内に、最大限に転職活動、動いておくのがひとつかもしれません。どちらでもよいのならなおこと筆者は動くことをお勧めいたします。
動きのない、安定的な絵柄ですから、急いで!絶対して!ということを言う必要はなく、その「どちらでもOK」というゆとりのある、しかし「太陽」は陰りを見せているこの現状の中で。
やはり39才と40才では、面接官の眼も変わってくる、41才になってからではことさらに・・・。経過図も兼ね合わせながら、いつごろまでに、ご自身を有利な形でステップアップに近い転職を可能にしていくことはできそうですか?などとうかがいながら、お勧めしたい次第です。
以上、実践鑑定を通じての「女帝のタロット学」いかがでしたでしょうか?
女帝の哲学~女性性や母性を育むことの意義~
この札が出るのであれば、産み、育てる力を発揮したいものです。
男女問わず、産み、育てる力は社会いたるところで発揮できるもの、求められている力です。
男性であっても子は産めます。男性なくして子は産まれないのです。女性ととともに、それをしてください。女性と、力を合わせてください。
実際的な出産だけが、子を産むことではありません。
生きる力を与えて、生きることを後押しすること、滋養あっての、子どもの生育です。
「産めよ、増やせよ」・・・自然界における、また市場の原理です。
また兄妹が生まれたよ、よかったね!
今日も収穫があったよ、よかったね!
スズメの巣の中でさえ、そんなさえずりに満ちいてる。
生産的でありたいものです。
時に、ここで立ち止まらねばならないこともある掛け声ですが、個人のレベルでは、心と身体の健康が一定に保たれている状況下で、そう言われて、嫌な気持ちになるものでもなかろうかと。
誰しもが自然に受け入れ、行えるのだということを筆者はタロットという一連の絵札と対面する多くの人たちから学び得たこともお伝えしたい昨今です。
中には、ご自身の中の女性性を受け入れられない人、母親との葛藤を抱え込んでいる人たちもいました。そういう人たちにこそ、「女帝」の哲学をニュートラルな気持ちで感じ入っていただきたいと切に願います。
1970年に入って一時期「マザー・ファザーコンプレックス」ということばがことさらメディアに飛び交ったものです。
コンプレックス=心理的葛藤であり、愛と憎しみのように両極的な感情を含み、個別の家庭環境によってより複雑にからみ合うような心理の総称で、それゆえに他者との関係性にネガティブな影響が出るものとして揶揄(やゆ)されるときに使われがちです。
「マザコン・ファザコン」が一種の流行語でもあったことにも象徴されるように、実際多く男女ともに私たちは相当に母親・父親に対する複雑な心情を生まれ育つ経緯の中でおのずと育み抱え込んでいく生き物だと言えるでしょう。
生物学的に、私たちとって父と母ほど大きな影響力を持つ存在はありはないでしょう。ことその胎盤で命を育みだしてきた母に対して、計り知れない感情、感性を抱くことは必須なのではないでしょうか。やはり父親とは一枚皮でへだたりがあるというか、遺伝子レベルでより大きな存在なのだと、タロットの序列は私たちに語りかけているようにうかがえます。臍帯(さいたい=へその緒)でつながっていた母、その延長線にあるわたしたちという存在を、見つめなおしてみることの意義深さを伝えるアルカナ「女帝」だとも言えるでしょう。
コンプレックスは、特定の問題を抱えた人につきまとうような代物ではなく、むしろ、社会生活を送っている誰にも潜むやっかいなもの。でありながら、無自覚なままに当事者が自身の実生活を破綻に導いている事例も報道されています。サイレントキラーのようなその力ではありますが、どんなものに変換させるかは、その人自身です。克服されている事例もたくさんあります。
占いそのものや占いの学びを通して、深い自己理解と心の癒しが可能になることを目の当たりにすることも多く、筆者は占いのロジックを応用した心の回復プログラムの開発により一層力を注いでいきたい所存です。
心理学的に、問題を抱えた当事者の「親子関係」に言及することは非常に多いもの。出生を振り替えることは重要なステップとされています。自我の形成に大きな役割をになっている親の存在、どのような人にどのように育てられたかを一度整理してみることで、今現在の私たち自身の感情や思考のパターンを洗い出すことができます。見極めるために、ひとりの人間がどこでどう生まれ出たのか、幼少期の体験というものに注目し、人生で初対面となった最初の女性について、思いを巡らせることは至極重要なことです。
心の健康、また、ご自身なりの心の回復プログラムにぜひとも、タロット&星読みのワークをご活用いただければと!
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