1475-1500年 エステンシ・タロットはシャルル6世のタロット?

書籍によっては推定1450-1470年頃とも言われている北方イタリアのフェラーラで作成されたエステンシ・タロットはタロット史を語る上で欠かせない存在です。

フランス国立図書館に17枚のみの不完全なセットとして保存されています。画像をお借りし、インターネットタロット美術館のほうへアップさせていただいております。

フランスの歴史家コンスタント・レベール(Constant Leber)により、当初は、おそらく1300年代に描かれたであろう「フランス国王チャールズⅥ(シャルル6世)のタロット」として紹介されていたことで世界的に知られているのですが、実際には、フェラーラ公国のエステ公爵のために作られたものであろうと後の研究家たちでは一致し、エステンシ・タロット(エステ家のタロット)と呼ばれています。

フェラーラでは既に二百年以上にわたるエステ家の統治が続いていました。当時の君主・ニッコロ三世には、なんと側室との間に27人もの子どもがいたことで知られています。ステッラ・ディ・トロメーイという、ニッコロ3世の最愛の人と呼ばれた女性が、レオナルドとボルソの2人の兄弟を産み落とし、やがて兄弟は正妻の子供たちを差し置き、侯位を継承するに至るのでした。

当時トリオンフィ(Trionfi)と呼ばれた切り札について、レオナルド・デ・エステ(Leonellod d’Este)公爵の出納帳で支出が確認されています。

1450年レオナルドの死後、爵位をついだ弟のボルゾ(Borso d’Este)は、フェラーラ市街地の東端、ヴィア・スカンディアーナ付近に、かの有名なスキファノイア宮殿(パラッツオ・スキファノイア)を築き上げます。

床面積280㎡、天井の高さ7.5mという巨大な大広間を埋め尽くすように描かれたフレスコ画は、二百年以上に渡る過酷な教会支配に対して立ち上がろうとしていた当時のフェラーラの人々にとって、ひとつの象徴的な意味を担う作品だったとのこと。

スキファノイア宮殿の寓意画(1476-1484) ギリシア・ローマ神話と占星術的なイメージが特徴

Allegory of June: Triumph of Mercury, fresco by Cosmè Tura パブリックドメインへ

 

 

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