タロットの標準(スタンダード)について

現在の標準的(スタンダード)なタロット

現在の標準的(スタンダード)なタロットは、大アルカナ22枚と小アルカナ56枚、総計78枚でワンセットとされています。

こと、マルセイユ・タロットにおいてはその標準的な並びや絵柄については「カノン」と呼ばれる伝統があることは前々回ぐらいの項でお伝えした通りです。

ヴィスコンティ・タロットのキャリー・イェール・パックの中に、56枚の数字が表記された小アルカナと思われる絵札が現存していることから、このパックがつくられたとされる推定1428~1447年、すでに何らかの一定のパターンが成立していたことをうかがい知ることができます。

当初、タロットの絵札は「切り札/trionfi (トリオンフィ)」と呼ばれ、タイトルなどは振り当てられていませんでした。

 

トランプ

ちなみにのちに登場した「トランプ/trumps」も、ラテン語の「勝利・凱旋triumphi(トリオンフィ)」から派生した語句。宗教上の「儀式、行列」を意味することばでもあり、聖者の行進を取り仕切る行政官は、預言、神託、占いに関わる能力を持つ者が司っていました。

 

アルカナ

現在では、タロットの絵札はアルカナと呼ばれます。アルカナ/arcana(イタリア語ではarcano)は、「不思議な、秘密」を意味するラテン語です。

大アルカナ/greater arcanaは寓意的な象徴画です。小アルカナ /lesser arcanaは4種のスート(棒、剣、杯、貨幣)に分けられ、各スートはそれぞれ14枚で構成されています。いわゆるトランプのように、4種のスートごとにACEから10までの数札と、王、女王、騎士、小姓の人物札4枚で構成されています。

この小アルカナの騎士と小姓が一体化してトランプのジャックになったとか、小姓が抜け落ちて騎士がジャックになったともいわれています。

 

スート

小アルカナに見られる4種のスートの起源も定かではありませんが、15世紀のカードメイカーは、スートに星、矢、鳥、犬、タカ、鏡、台座、月、碇(いかり)などの色々なシンボルをとり入れようとしてきた軌跡があり、いつ誰が決めたということもなく、時代の流れとともに自然に定着していったものと思われます。

ヴィスコンティ版では「棒/stave」「剣/sword」「杯/cup」「貨幣/coin」が採用されています。後に派生したと言われるトランプ、その4スートのクラブ、スペード、ハート、ダイヤは、それぞれ小アルカナの棒、剣、杯、貨幣がマークと化したものです。

 

 

タロッキ

タロット関連を扱っている中では、しばしば「タロッキ tarocchi」ということばにも遭遇します。これは15~16世紀初頭に使用されていたイタリア語で、厳密には「タロッコ tarocco」の複数形です。こちらより、フランス語の「タロット tarot」が英語圏において広く用いられ通称に至ります。

以上、山川出版社「タロットの歴史」P,13の原文&追記含む。

現在はタロットマスターズサイトで、現在のスタンダードとされている大アルカナの番号、タイトルはどのような流れで決まっていったのか、当方なりの一考察について記述をまとめています。

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